第9回日本鍼灸師会全国大会inおかやま

晴れの国、岡山に到着
晴れの国、岡山に到着
宇宙に向けた鍼灸
宇宙に向けた鍼灸
弦躋塾の佐藤裕仁先生
弦躋塾の佐藤裕仁先生

10月13日~14日の2日間、岡山コンベンションセンターにて「第9回公益社団法人日本鍼灸師会全国大会inおかやま」が開催された。大会のテーマは『きぼう・・・未来へ!』~宇宙に向けた鍼灸~という壮大なもの。初日の「総合診療医に学ぶ!問診・視診のこつ」(岡山大学院・大塚文男教授)は、内分泌の視点から医療面接をとらえた話で、密度が濃くて分かりやすい講演だった。「副甲状腺の機能が亢進すると、骨が弱くなり、カルシウムが体にたまる。女性で尿路結石を繰り返す人や、口が渇く・吐き気・倦怠感・食欲不振などは副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症を疑う」、「35歳以下におこる高血圧は副腎の腫瘍によるアルドステロン症が多く、その4割が脳卒中をおこす」、「腹に赤い線が出る・中心性肥満・ムーンフェイスはステロイドホルモンが高い」など、我々鍼灸師も普段の問診から、これらのサインを見逃すことなく、的確な判断をしなくてはならないと感じた。

 

一般口演は腰と膝がテーマ。弦躋塾からは佐藤裕仁先生が、「突然起こった膝関節症」を発表された。日鍼会は主に現代医学的な診かたをするため、発表者も会場からの質問も解剖学的な話が多く、証や取穴、手技といったものは焦点にならないのがちょっと残念だったが、その反面、古典的な物の見方ばかりに偏ってはならないという刺激になった。

 

懇親会では小川卓良先生率いる生バンドで、首藤傳明先生が熱唱!
懇親会では小川卓良先生率いる生バンドで、首藤傳明先生が熱唱!

懇親会では、小川卓良先生らによる生バンドの演奏があり、首藤傳明先生も「無錫旅情」を熱唱。会場はすごい歓声に包まれた。

 

また、昔、中野鍼灸師会時代にお世話になった伊集院先生や、岩元先生、飯田先生、村上先生たちと楽しくお話させていただきました。

 

飯田孝道先生・伊集院克先生・岩元健朗先生と
飯田孝道先生・伊集院克先生・岩元健朗先生と
宇宙飛行士の山崎直子氏
宇宙飛行士の山崎直子氏
スペースシャトルから見た地球
スペースシャトルから見た地球

大会2日目は、急用があって午後からの参加となり、4名の先生による「宇宙と鍼灸」の講演を聴講した。宇宙は究極のへき地であり、宇宙で培われた技術はへき地の医療にも役に立つという話や、過疎化で医療体制が不充分な場合や、高齢者で病院まで通えない人のために、TV電話によるアドバイスで患者自身が鍼を打つなどの案が語られた。すでに宇宙で使うためのディスポ鍼も開発されており、そのような使いやすい鍼を用いることによって、過疎地に住む人々の健康問題に対応できるということだった。

 

まあしかし、へき地で往診をしている者からすると、話はそんな簡単ではないと思う。患者さんが抱えている孤独や不安などは苦痛の度合いを左右させるが、それは実際に会わないと伝わりにくいものだ。術者が話を聞きながら、直接肌に触れてツボを探し、正しい刺鍼をするからこそ治療が効くのであって、素人が自分で鍼を打って気が至るほど、鍼灸の技術は易しくない。とはいえ、都会への一極集中がこのまま進めば、やがてそういう時代が来るのかもしれない。

 

講演の最後は、元宇宙飛行士の山崎直子氏が登場し、スペースシャトルから見た地球の写真や、宇宙ステーションでのエピソードを紹介された。乗組員に選ばれてから搭乗するまでに11年も訓練したことや、遺書を提出して宇宙に向かったことなど、華々しい姿の裏に命がけで仕事に取り組んできたことをサラッと笑顔で語ってしまうところは、さすが宇宙に行ける価値のある人物だと思った。

 

今大会は色々な意味で学び、反省することも多かった。これらの教訓をかみしめて、明日に活かしたい。

 

網上にある鍼灸院です
網上にある鍼灸院です