第20回弦躋塾セミナー動画(1~2巻)をアップしました

本日、2005年9月に開催された「第20回弦躋塾セミナー」動画の前半をYoutubeにアップロードしました。特別講師は樋口秀吉先生(宮城県鍼灸師会会長・経絡治療学会副会長、東北支部長)です。

第1巻では刺鍼技術の基礎となる押手や刺手、刺鍼方法について詳しく講演されました。 ただ漠然と鍼をするのではなく、なぜそうするのかといった目的意識をしっかり持って鍼をすることの大切さを強調されています。接触鍼では、皮膚の状態によって鍼の角度や手技を変えて刺鍼したり、雀啄や旋撚をする意味は何なのかといったことを学ぶことができました。先生の華麗な手技には見とれるばかりですが、繰り返し強調されていたのは「できるだけ力を抜く」ということでした。意外にも先生自身は手が硬いそうですが、それを柔らかく使うように訓練したそうです。鍼を弾入する際、皮膚の弾力度によって刺鍼の深さを調整したり、狙った深度まで正確に弾入できなければプロとはいえず、そうなるためには訓練して感覚を養うしかないとのことでした。第2巻では実技を中心に刺鍼技術の実際を披露されています。4名のモデルに対する治療、もぐさのひねり方、また食養生についての解説や野菜スープの作り方などについても詳しく述べられています。大変貴重な講演だと思います。Youtubeのページにチャプターを細かく打ちましたので参考にして頂ければと思います。

(チャプターが隠れて見えない場合は、もっと見るを押して解説欄を広げて下さい)

 

第1巻

第2巻

樋口先生の講演からメモ

・鍼灸治療で効果を出すためにはツボを的確にとらえることと、必要な手技を加えること。

・体表の変化はどこで捉えるか? それは押手である。たとえば雀啄をする場合、刺手で

 鍼を操作し、その変化を捉えるのは押手である。

・押手には上下圧・左右圧・周囲圧の3つがあるが、大切なのは左右圧である。

・押手をする際、母指と示指に隙間ができないようにする。左右圧がしっかりかかれば、

 上下圧の力は必要なくなる。

・押手はできるだけ力を抜くことである。押手は鍼を支えるだけではなく、体表の変化を

 把握する役目もある。押手が軽ければ、皮膚に気が満ちてきたとき(気が集まってきた

 とき)の、ふっくらしてくる感覚が読み取れるようになる。押手が強いとそれがわから

 ない。

・押手の形はどうであれ、力を抜いて10円玉をつまんでテーブルに立て、少しだけ内側に

 引くと指がしまる。これが正しい押手である。臨床をしていると自分の癖がついてしま

 うものだが、たまに10円玉をつまんで練習するとよい。

・鍼を回旋(旋撚)する際、その角度は左右均等にすること。鍼柄をポケットに入れて、

 電車の中でもどこでも回旋の練習をするとよい。

・刺し手も押手も軽くするべきである。また鍼を回旋する際も力を抜く。

・雀啄は硬結を緩める目的で使う。

・硬結に当てたらスッと引く。鳥が餌を啄ばむように、当てて引く。

・棘突起の上など皮膚が薄いところで雀啄の練習をする。そうすると微妙な鍼の当たり具

 合、引き具合がわかる。

・押手に鍼管をねじ込むのではなく、指と指の合わせ目に鍼管を入れて、反時計回りに回

 すように管を立てる。

・気を動かすときは接触鍼を使い、血を動かすときは刺入鍼を使う。刺入(の度合い)は

 ツボの現れている状態に合わせる。

・接触鍼はポイント(ツボ)として使う場合と、面(エリア)として使う場合がある。

 また、皮膚に出ている症状の深さを考えて治療をする。たとえば気鬱のばあい、刺入し

 ても皮膚の浅い部分は変化しない。浅い部分には浅い部分に対する処置をしなければな

 らない。そのところを使い分けて処理することが必要である。

・臓腑でいえば、腎は深いけども気である。坐骨神経痛は気の病である。

・まず置鍼をして、最後に脈を診て、足りないところは単刺で補ったり、瀉法をしたり

 する。補法でやって変化しないときに瀉法をやる。瀉法は最後にやる。

 

・置鍼は浅くする。鍼が抜けても構わない。場所によっては竜頭が鍼管に隠れるぐらいま

 で刺すこともあるが、経絡の深さよりも刺す必要はない。

 

講演中の樋口先生
講演中の樋口先生

この他にも心に残るフレーズが沢山ありました。繰り返し動画を見て学ぼうと思います。そして、この動画の公開を快くお許し下さった樋口先生に感謝いたします。今回の動画は、撮影時のミスによる画面の乱れや音声の不具合が多く、静止画像で補ったり、カットしたシーンが多くありました。また、アップロード後にキャプションの誤字(旋撚を旋然など)を見つけましたが、そのままにさせていただきます。

 

セミナー後半(3~4巻)の動画は、当分休んでから作成します。

 

網上にある鍼灸院です
網上にある鍼灸院です