著作の紹介

FIFTY YEARS OF PRACTICE

 

『首藤傳明症例集』の英語版です。スティーブン・ブラウン氏による翻訳は秀逸で、首藤先生曰く、英語版も「読みやすい」とのことです。私は英語はまるっきり駄目ですが、日本語版と並べて文字を追っていけばニュアンスは伝わりますし、症状や痛みの表現、臨床でのやり取りなどの英語を知ることができるので勉強になります。海外の読者に合わせて図は解剖学的なものに変更され、見やすくなっています。個人的には日本語版の、首藤先生の描かれた図のほうが味わいがあって好みですが。

 

日本語版にあった付録の『繁栄の法則を求めてー開業当時の苦心記』は省略されています。

首藤傳明症例集鍼灸臨床50年の物語

 

首藤傳明先生の豊富な臨床経験によって、「こうすれば治る」ということが書かれています。私のように「一人で開業していて、困ったときにも助けが無い」という鍼灸師にとっては、とてもありがたい本です。首藤先生は一貫して経験的実証的主義の立場で書かれており、抽象的な理論や曖昧な解釈は排除し、先生が臨床体験を通して理解・納得したことだけが記されています。また、誰もが読みやすく、分かりやすいように書かれています。『経絡治療のすすめ』を読み、「これなら私にも脈診ができるかもしれない」と背中を押された鍼灸師は少なくないはずです。読者にそのような気にさせる(これも気至るです)のも先生の著作の魅力です。『すすめ』から本書までには30年という時間が過ぎていますが、先生の目指す鍼灸観は基本的に変わっておらず、「理論はシンプルで、よく効く治療」を追及されています。本書は「症例集」であり、50年に及ぶ首藤先生の克明な臨床記録の抜粋です。我々が臨床で行き詰ったときにこの本を読めば、必ず道が開けるでしょう。そして、巻末に収録された『繁栄の法則を求めて』は、開業して苦しんでいる駆け出しの方々に是非読んでいただきたいです。名人だって初めから順調に行ったわけではなく、苦しんでいた時期があります。毎日毎日続けることによって、今日の首藤先生があることを知れば、我々だって日々の苦労の中にも希望を持てるというものです。

 

 先生は常々「頭の中で考えていることや、思いついたことがあれば、書いておけ」といわれます。たとえ短い言葉の断片であっても、忘れないうちに書き留めておけば記録となり、それが蓄積すれば貴重な資料になっていくからです。そして、この本は首藤先生の鍼灸臨床50年の記録の集大成です。私もこの本を治療室で読むたびに、まるで首藤先生がそばにいるかのように勇気がわいてきます。

超旋刺と臨床のツボ-鍼灸問わずがたり

 

首藤先生の鍼灸に対する考え方や技法について、わかりやすく書かれた本です。氣と「氣至る」についての理解・実感をする方法、人間のこころの座は五蔵にあるということ、生きたツボをどう取るかなど、臨床に直結した話ばかりで、読んでいてグイグイ引き込まれます。経穴逍遥では首藤先生が臨床でよく使われる経穴を取り上げて、その取穴法や主治、注意する点などが詳しく記されています。経絡図の位置などにはこだわらず、すべて実践的です。首藤先生の代名詞ともいえる「超旋刺」に関しても、その意義や効果、利点、刺鍼の方法や刺入鍼との使い分けについて語られ、特に五蔵に宿る五神の調整には超旋刺が有効であるとして、精神化領域への臨床的意義を述べています。実際に私(高嶋)が初めて首藤先生の鍼を受けたときも、「こころに効いた」という実感があり、それは今までに体験したことのないものでした。(p279に出てくる、「東京から来た若い鍼灸師」は私です)

 

先生は「超旋刺は簡単」というものの、実際はそんなに甘いものではありません。鍼は機械的に刺せば効くというものではなく、術者の経験、技術、人柄などが合わさって効果が出るからです。かつて、「本を読んで真似したけど、全然効かないですよ」と言ってきた人がいました。おそらく、それは何かが足りないのです。この本の第三章をしっかり読めば、きっと答えが見つかるはずです。

 

また巻末には、この本に引用された古典の原文解説を、日本内経学会の宮川浩也先生がされており、古典の勉強に必要なテキストと解説本の紹介もあります。

経絡治療のすすめ

経絡治療のすすめ

 

経絡治療を実践するために、また難しくて敬遠されがちな脈診を理解しやすく解説した入門書です。この本が経絡治療界に果たした貢献は大きいと思います。なぜなら難解で古臭く、堅苦しいというイメージだった経絡治療を、初めてわかりやすく紹介した本だからです。冒頭のエピソードから、経絡治療をしない者でもグイグイ引きつけられてしまう魅力があります。第二編では「やさしい脉診」と題し、難しいはずの脈診を最初にもってきて、誰もが実践できるように解説しています。写真や図も豊富です。シンプルでよく効く鍼を目指した、首藤先生による経絡治療の“すすめ”です。

 

学生時代、私は長野式に傾倒していましたが、この本だけは読んでいました。文章からなんとなく先生の人柄が伺えました。数年後、私が大分駅前で落ち込んでいたとき、はっと気づいて首藤鍼灸院に電話したのも、この本を読んで首藤先生に好印象を持っていたからだと思います。

 

「学だけでは鍼は効かない。学のない鍼も効かない。毎日の術があってこそ効いてくる。毎日の行にこそ鍼上達の秘訣がある」と巻末にあります。私は治療に行き詰ったとき、この本を読み直すことにしています。

Japanese Classical Acupuncture: Introduction to Meridian Therapy

 

スティーブン・ブラウン氏によって翻訳された、『経絡治療のすすめ』の英語版。序章に日本鍼灸の歴史や経絡治療の成り立ちについての紹介があり、続いて陰陽・五行論の解説がされるなど、日本鍼灸を知らない外国人にもわかりやすい構成となっています。B5版のハードカバーで、写真や図が大きく見やすい。巻末に本間祥白先生の五行図つきです。

Finding Effective Acupuncture Points

 

1986年より『月刊医道の日本誌』に連載されていた、「経絡治療のすすめ臨床篇」をスティーブン・ブラウン氏が英訳し、見やすい図解が追加された本です。巻末に経穴名の索引と、経絡別に首藤先生の使われるツボの頻度が星(★★★)によって列記されているので、大変参考になります。

【DVD】首藤傳明の刺鍼テクニック 超旋刺と刺入鍼

 

2011年に医道の日本社より発売された、首藤先生のDVD(93分)。「超旋刺」の刺鍼方法やコツ、生きたツボの取り方(私方穴含む26穴)や刺鍼の注意点などが語られており、治療例は腰痛と抑うつ状態の2例が収録されています。プロの撮影と編集による動画は大変見やすく、首藤先生を知ったばかりの人は、まずこの動画から見ることをお勧めします。

 

また、DVDの内容とは関係ないですが、収録時の先生の声が肺虚証でかすれ気味なのがちょっと残念です。本当はもっといい声です。きっと忙しい臨床の隙間をぬって東京に撮影に行かれたのでしょう。

DVD 経絡治療のすすめ

 

「経絡治療のすすめ」のDVD版(70分)。全編にわたる実技のビデオで、首藤先生のていねいな触診、取穴、入念な消毒などの様子が見て取れます。この頃(1992年頃)の首藤先生は寸3の鍼による浅刺・置鍼をされていますが、後の「超旋刺」に通じる鍼の回旋や、本治法に始まり座位の治療で終わるというスタイルは今も変わりません。腸骨点・殿頂・C7傍・耳めまい点や腋下点への皮内鍼なども同様です。カメラアングルもよく、若い頃の首藤先生の映像としても貴重です。

取穴論DVD

 

弦躋塾で行われる取穴論を録画したDVD(60分)。臨床でよく使われる33のツボを取穴・刺鍼する様子が収録されています。使用経穴の解説と写真(7ページ)を付録資料としました。元々は弦躋塾20周年記念に合わせて、私が提案・作成したものですが、前倒しで塾生に頒布することになりました。素人が家庭用ビデオカメラで録画したので映像が暗く、音声も聴こえにくいですが、そこに映っている首藤先生の技術は本物です。当時は弦躋塾の会場がビジネスホテル・クドウだったので、畳の上で膝を突き合わせて取穴をする姿が懐かしいです。

取穴論2DVD

 

取穴論DVDから3年後に作成した続編(112分)で、「取穴と刺鍼の指導」を紹介したライブビデオです。本作には実践でよく使われる15のツボが収録されています。前作よりも映像が格段に明るく見やすくなりました。製作は撮影からビデオ編集までは私が個人で行い、オーサリングとプレスを業者に依頼しました。

 

 

Point Location Practice 2Part1)

 

NAJOM(北米東洋医学誌)が製作した、『取穴論2DVD』の英語版。さわやかな雰囲気のメニューと、ブラウン先生のナレーションが印象的です。

第41回中国伝統医学学会(41st TCM Kongress Rothenburg)首藤先生講演DVD

 

Grundlagen der Meridiantherapie und oberflächliches Nadeln(経絡治療の基礎)

360分

Behandlung von Kopfschmerzen, Schwindel und HWS-Syndrom(頭痛・頸椎症・めまいの治療)180分

Behandlung des Geistes (psychosomatische Störungen), auch ..(心身症・お灸)240分

 

2010年5月14日~16日の3日間、ドイツのローテンブルグで行われた首藤傳明先生の講演と実技を収録したビデオです。全部で13時間に及ぶ、首藤先生渾身の講義を見ることができます。実技(手持ち)の撮影は私が担当しました。セミナー後、すぐに映像がDVDとなって販売されるというシステムと、ドイツ人の仕事の速さには驚かされました。

 

このときの首藤先生は気合が入っていて、「日本鍼灸を背負って講演をされている」という気迫が伝わってきました。編集されていないので見づらい部分もあると思いますが、おそらくこれまでで一番良い映像が撮れたはずです。先生は当時78歳で、ドイツ全行程では24時間を越える講演時間となりました。年齢を考えたら奇跡的なことだと思います。このDVD、全編見るだけでも大変ですが、首藤先生の治療を存分に学ぶことができるはずです。

 

 ↓ここで買えます

AVRecord(コングレスのDVD販売サイト)

 

また、この講演の様子を書いた旅行記です。

【ドイツへの旅 2010】ローテンブルグ~ドイツの鍼灸学会編

鍼灸臨床のコツ 臨床疾病各論

 

1997年9月、弦躋塾生用に配布された小冊子(全22ページ)。証を決めかねたとき、分からないときのために役に立つお助けの書。症例別に基本穴と補助穴が記されており、「このツボを使えば80%は治る・・・・はず」とは首藤先生の言葉。弦躋塾10周年を記念して発行されたもので、巻末に病名別のインデックスがついています。

 

 

わかりやすく効果的な鍼灸治療 首藤先生講義テキストVer.1

 

塾生の岩田博夫先生の編集による、取穴各論(22穴)と臨床各論(53疾患)が書かれた小冊子(全14ページ)。最終ページ、「結論」の文を記します。

 

イ. 鍼は人なり。思想の表現。道。

ロ. 鍼は科学か芸術か。

ハ. 鍼はメンタル。

ニ. 鍼と行。

ホ. 師匠の技術を捨てる。

ヘ. 際限のない鍼技術。

ト. “氣至る”感覚を得て一人前。

チ. 21世紀に生き残るには。

リ. 繁盛するには。

ヌ. 学・術・道。

ル. simple and clear but effective.

網上にある鍼灸院です
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