2017年

1月

02日

第28回弦躋塾セミナー動画(3~6巻)をアップしました

 

新年、明けましておめでとうございます。

昨年は健康の大切さや、人との出会い、日本という素晴らしい国の国民であることに感謝する1年でした。今年は自分に何ができるのかを熟慮し、鍼灸師としての向上に努めます。

 

本日、第28回弦躋塾セミナーの後半(第3~6巻)をYou Tubeにアップロードしました。第3巻は中田光亮先生(東洋はり医学会 会長)の講義「補瀉について」、第4巻は中田先生の実技(2名)、第5巻は首藤塾長の講義「脳梗塞の鍼灸治療」、第6巻は首藤塾長の実技(1名)が収録されています。前回に続き、中田先生の実技にはチャプターを打ってあります。私のように東洋はり方式を知らない方でも、繰り返し見れば理解が進むと思います。

 

今回の動画を作成していて、中田先生と首藤先生の治療はよく似ていると感じました。もちろん、どちらも経絡治療の名人ですから当然といえば当然なのですが、私は長いあいだ手技や方法論の違いに惑わされて、その本質が見抜けませんでした。やはり流派やスタイルにこだわらず、いいものはドンドン取り入れるべきですね。中田先生も講演の中で、「なんでんかんでんよかもんは使う。誰の本でも、よく読んで研究すること」と述べています。今回のビデオを全部通して見ると、補完し合えるポイントがつかみやすいと思います。また、両先生ともに実践して得られたことだけ話されているので、経絡治療や古典系を敬遠している鍼灸師の方にもきっと参考になるはずです。

 

第3巻

 

第4巻

 

第5巻

 

第6巻

 

中田先生の講演からメモ

・経絡治療の強みは、原因がわからなくても、現れている病証に対して経絡の変動を見て

 補瀉すれば必ず良い方向にいく。たとえ時間がかかっても良い方向にいく。誤治しない

 限りは。

・一番大事なのは補法、その次が瀉法。補法は難しい。経の流れに随い、そっと切経する。

 何でもかんでも太淵・太白ではいけない。

・薬の副作用で自分の精神のコントロールができない場合は厥陰肝経、気が狂うのは胃経

 に邪がある。暴言を吐くのは胃経の実、肝・腎・胃をうまく処理すると落ち着く。

 電車の中を見回すと、5人に1人は気鬱になっている。

・気の変化なのか血の変化なのかを見分けないといけない。体質によっても違う。表の虚

 を補うか、中の実まで刺して動かせばいいのか、色々ある。肺虚は気がもれやすいので

 表面の気を軽く補うと、あとが良い。

・肝はちょっと曲者で、ぶすっと刺していい場合と、そうでない場合とある。肝体質でつ

 るっとした艶のある人は曲者。腎虚は気の巡りがわるいから、ちょっと刺して置鍼をし

 たほうが良い。沈遅で冷えている人は鍼を留めなくてはならない。反対に、熱を帯びた

 脈の人に置鍼は向かない。

・浮沈遅数虚実は、鍼のやり方の判定法である。バセドウ病など、熱が無くても数脈にな

 ることもあるので、勘違いしないよう病証をよくきくこと。

・風邪薬を飲んでいる人は脈が沈んでいる。鍼をすると好転反応として一時的に熱が上が

 るが、陽に邪を浮かせて発汗させて治す。

・肺虚の人が飲み過ぎると、鼻水が出始め、最後は泣き出す。泣き上戸は肺虚。

・陰の病は陽でとる。胸苦しい場合に胸に治療をすると悪化するので、その場合は背部を

 使って治す。

・胃痙攣は脾虚で、内関と公孫。

・便秘でなかなか治らない。左公孫をよく補うか、お灸をする。左大巨、左鼠径のあたり

 を表面から調整する。浅く気を流す。左大巨は便秘を止め、右大巨は下痢を止める。

・脾経の郄穴の地機は大事。どんな下痢でも止める名穴。糸状灸で10壮。

・右手と左足は気を下げる。

・陰部掻痒に肝経の蠡溝のお灸。

・灸もただすえるのではなく、経絡的に弁別をして経絡治療に合った施灸をすること。

・打撲は瀉的にお灸すると綺麗に治る。青タンの周りに知熱灸をどんどんすえる。瀉的散

 鍼をしてから知熱灸をするとなおよい。冷やすと気血を止めて色が残る。それが瘀血に

 なる。

・冷え性は臍と八膠穴を挟み撃ちにして温める。浅く置鍼して知熱灸をすると、灸頭鍼を

 しなくても温まる。不妊症やインポの治療にもなる。

・急性の脱肛には鍼が一番。孔最、太谿など。慢性の痔。

・子宮は肝経、腎経。不妊は子宮が冷えているから。

・朝シャンは駄目。頭の冷えが陰陽関係で下のほうに影響する。男も5人に一人は子供がで

 きない。電磁波などが精子に影響する。心肝腎。

・慢性の腰の場合、鍼だけで気を回してもなかなか治らないのは血鬱があるので灸をすえ

 る。表面の気を回しても、どうも血の動きが悪い。古くなればなるほど血が回らない。

・手首の痛みは貫抜きの灸。外関と内関を同時に施灸する。

・顔面の湿疹は陽明経。陽明経を結ぶとよい。左右の圧痛を調べて合谷に5壮、反対側の

 陥谷に3壮、毎日すえる。

・大腸に熱があるとアレルギーになる。アレルギー性喘息、花粉症などは腹を治療する。

 中脘・天枢など蠕動運動を高めるような鍼をする。子供は鍉鍼か超旋刺で中脘、水分の

 あたりに鍼をする。腸に便が溜まると大腸癌や湿疹のもとになる。下痢、便秘は水分、

 中脘、天枢が重要。

・肝の脈が硬い場合、肝実があるか、胆に邪実がある。

・肝実の鍼は経の流れに逆らって瀉法。接皮→切皮→肝経は動きにくいので2~3ミリ入

 れる→抵抗に当たったらゆっくり雀啄→抵抗が取れたら加圧を下にかけてグーッと抜く。

・胃の脈の邪が強いが、上から押すと無くなる(虚性の邪・気の変化)場合は、補中の寫

 (枯)で処置をする。下腿、胃経を切経すると左が強い。左の胃経を経に逆らい、指先

 に邪が感じるところに取穴し、ゆっくり刺入、当たったら2呼吸補い、1ミリ幅でゆっく

 り雀啄する。正気と邪気が分かれて鍼が緩んできたら、鍼先に押手を密着させ、ゆっく

 り鍼を抜く。このとき、スッと鍼を抜いたら邪は取れない。ゆっくり引いて、20センチ

 ~30センチぐらいのところから脈状がピッと締まる。邪を遠くへ飛ばすというイメージ

 をしなくてはならない。

・大腸に少し塵がある場合は、補中の瀉(塵)で、右の大腸経を切経し、温溜あたりに鍼

 を接触し、ちょっと押し気味にして、そのままスーッと抜く。

・胆経に実があるので、右の胆経、光明から抜く。うまく寫すと目が明るくなる。補中の

 瀉(枯)で、少し抜き差しして、正気と邪気が分かれたら、密着して、そのままスーッ

 と抜く。

・中脘、上脘が張っている場合、張っている所に鍼をするとかえって悪くなるので、下の

 ほうの虚している水分、下脘を補うとバランスが整う。気が入ると呼吸が深くなるので、

 そこで抜く。

・天柱、風池は上方に向けて刺入したほうが効果がある。人によっては反対側に向けて刺

 す。右の天柱から反対側の目に向けてやるやり方もある。瘂門でも右斜めにに向けて刺

 すと、右側の肩凝りが取れる。それでも取れない場合は附分、魄戸、膏肓の硬結をとる

 こと。臑兪を上向きに押して圧痛をみると、コリの左右差がわかる。血圧を下げる場合

 には灸をする。

・慢性の腰痛で、鍼で気を回してもなかなか治らない場合は血鬱があるので、灸をすると

 よい。後谿・申脈を自分で施灸すること。うまくいけば背骨がまっすぐ伸びてくる。

・血の変化の場合には灸が効く。常にやると腰痛予防にもなる。

・後谿・申脈(あるいは申脈・後谿)の治療で、ボケ防止、脳梗塞、パーキンソンには

 後谿を主穴にして施灸する。

 

編集後記

昨年は目の調子を悪くしたために動画編集が捗らず、今回の動画もやっと完成しました。素晴らしい内容ですし、私も気合入れて撮影&編集したので、本日アップできて嬉しいです。先日はイタリアの医師からお便りがありました。これからも、動画を通じて日本鍼灸の素晴らしさが世界に広まれば幸いです。

 

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