2017年

7月

09日

第20回弦躋塾セミナー動画(3~4巻)をアップしました

このたび、第20回弦躋塾セミナー後半(3~4巻)の動画をYouTubeにアップロードしました。第3巻は首藤塾長による講義「婦人科疾患の鍼灸治療」、第4巻は実技(女性4名)が収録されています。第3巻の講義にはテーマ別にチャプタを打ちました。『首藤傳明症例集』(医道の日本社)の第13章(p392からp413)を参照すると、より勉強になると思います。

第3巻

第4巻

実技からのメモ

第4巻の実技は、もともと3名のモデルを予定していましたが、少し時間があったので急遽もう1名治療しています。4名ともに肝虚証で治療をしていますが、各モデルの主訴や反応の出かたによって治療のポイントが異なっています。私は以下の点が参考になりました。

・モデル1は甲状腺の症状に対して肺兪の置鍼や、兪府、缺盆、大杼などの刺鍼、風門への

 円皮鍼など。

・モデル2は子宮内膜症の症状に対し、大巨の刺鍼や、仙骨部周辺の反応(次膠や上仙の

 やや下)を診て刺鍼。胆経を寫すときに陽輔と陽陵泉の反応を比べて選穴。また、本治

 法では左右の曲泉に刺鍼しても脈が変わりにくく、太衝を追加したが、治療後の検脈では

 あまり好転が見られず、継続した鍼灸治療が必要と思われた。

・モデル3は動悸の症状に対して内関の移動穴を取穴。耳鳴りに患側の関衝に刺鍼。また

 翳風の硬結や頬車付近の反応も診ること。但し耳の周囲は刺激しすぎると耳鳴りが悪化

 することがあるので注意する。耳閉感には耳めまい点に皮内鍼がよい。肺兪付近の硬結

 があると同側の上肢の関節が悪くなるので普段から鍼治療や円皮鍼などで軟らかくして

 おくこと。治療後の検脈で脈が戻っていたため、再び曲泉に本治法を行った。

・モデル4は不問診で、時間にして3分半ほどで必要最低限の治療を行った。

 

モデル4の治療では、曲池に刺鍼しながら目の硬さを確かめたり、一瞬ですが膝の具合を確認したり、伏臥位になったときに素早く督脈~背部兪穴~腰部~仙骨部を触診して取穴・刺鍼されています。時間は短いですが、最も臨床時の首藤先生に近い雰囲気でした。実技にもチャプタを打ってあるので活用して下さい。

 

編集後記

今回の編集作業で感じたことは、経験を積むことによって見えるものも多くなるということです。首藤先生の治療スタイルはシンプルでわかりやすいと思われがちですが、やってみると実はとても難しいです。私も当時、一生懸命学んで分かったつもりになっていましたが、今思えば「つもり」になっていただけで、ほとんど見えていませんでした。12年前のセミナー当時には気づきもしなかった多くのことが、今回の動画から見えてきて大変勉強になりました。特に講義の中に出てくる「治験例」は、よく似た症状の患者さんを診る機会が増えているので参考になりました。塾長のコメントからは、高齢者の患者に対する気づかい、優しい言葉など、初心に返って取り組まねばと思うことがありました。「看板が汚れているのは駄目」というのもそうです。私も離島に移住して7年が過ぎ、うちの看板も風雨に晒されてきました。塾長の話を聞いてハッとし、早速新しい看板を注文したところです。

 

最近は目が悪くなりやすいため、あまり動画作成に時間をかけていません。前回の樋口先生の動画から4か月近くかかってしまいましたが、これで第20回弦躋塾セミナーの動画が完了しました。今後もボチボチと動画作成をしていきます。

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